溺愛王子様のつくり方
「あ!すいません、どこか具合でも?」



彼女はたしか、秘書室勤務の北条さんだ。



「ううん。そうじゃないの、まだぐっすり寝てるから置いといてあげてね」



シーっと口の前に指を立てて、彼女はここを出ていく。


……?
〝まだぐっすり寝てる〟と彼女は言った。

ということは、ベッドに誰かがいて。
ここで二人で寝ていたということになる。

たしかに、彼女のシャツのボタンはあいていてすこし乱れていた。



「うそ、会社で!?」



さっきの彼女が誰か社員と……。
と考えて、顔が熱くなってしまう。

それにしても、ここで寝てる人は大丈夫なのだろうか。
仕事の時間とか。

気になってしまって、そーっとカーテンをあける。




「……っ」



カーテンをあけた先に見えたのは、枕を抱き枕にして寝息を立てている学くんの姿。



「見せつけ……?」



こんなとこで、さっきの彼女と。
あたしがここに来ることをわかっているのに。

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