溺愛王子様のつくり方
どこの資料にも副社長の写真はないから。
どんな顔なのかもわからないけど、一説によるとひどくイケメンらしい。

沢山言い寄ってくる女の子もいるけど、来るもの拒まず去るもの追わず。
社長的にそろそろ結婚して落ち着いてほしいけど、当の本人に一切そのつもりがないそうだ。

そんな噂の副社長があたしを……?
これは何かの間違いかそれか罰ゲームだ。
そうとしか考えられなかった。



『だから、君には息子と結婚して欲しいんだよ』


『へ!?』



突然出てきた〝結婚〟の文字に当然ながら、驚きを隠せない。
こんなこと言われたら誰もがそうなるだろう。



『結婚をしてくれたら今後、君の全ての面倒を見る』


『はぁ……』



どうしたらいいかなんてわからない。
これから新社会人として、やっていこうとした矢先だった。



『結婚の日取りとかは君たちで決めていいから』


『はぁ』



曖昧な返事のあたしにも構わずに社長は話を続ける。



『あいつを落ち着かせたいんだ。頼む』



あたしに深々と頭を下げる社長に、断ることなんてできなかった。



『頭をあげてください!わかりましたから!』


『本当か、よかった』



笑顔を見せる社長に、本当に息子さんことを想ってると感じた。

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