溺愛王子様のつくり方
夜。
学くんが帰ってきたのは、日付が変わるか変わらない頃だった。

事前に〝接待があるから遅くなる〟とはメッセージがきてたけど。

あたしには、また北条さんと……という考えしか浮かんでこなくて。
〝先に寝てていい〟と言われたけど、寝れるはずもなかった。



「ちとせ。まだ起きてたのか?」


お昼のことなんてなんでもないように、ネクタイを緩めてあたしの隣に座る。



「もう寝るとこ」



帰ってきたならいい。

それにやっぱり、学くんの顔を見ることなんてできない。



「おい」



立ち上がったあたしの腕を引いて、もう一度ソファーに座らせる。



「なんなんだよ。いい加減に俺を見ろよ」



はぁっとため息をついて、あたしの顔を覗き込む。



「もういいよ」



覗きこまれた瞳が真剣で思わず目をそらす。

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