溺愛王子様のつくり方
──チュッ



あたしが瞬きをするのも忘れるくらいのスピードで
唇を重ねた。



「なんもねぇよ」



そのままグイッと引き寄せられた。



「え?」


「北条とはなんもねぇ」



耳元で聞こえるその声に。
彼が話す度に吐息が耳にかかって、ドキドキが加速してく。



「そっか……」



学くんが何も無いと言うのであれば、それを信じる。
本当は違うのかもしれない。
でも、学くんのことが好きだから。

あたしは君を信じるよ。



「お前が俺の横にいるうちは、俺は他の誰かと……とかは考えてねぇよ」


「……え?」



どうしてだろう。
あたしのことを好きなんかじゃないのに。



「俺は結婚した以上、他の誰かを見るなんてありえねぇと思ってる」


「うん……」


「いくら愛がなくても、俺は親父みたいにはなりたくねぇ」



そのままあたしをきつく抱きしめた。

〝愛がない〟ってことばも。
〝親父みたいに〟ってことばも。

胸のつかえがとれないけど。
でも、今は学くんを信じてついていくしかない。

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