溺愛王子様のつくり方
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「副社長、午後のスケジュールですが……」



昼休みあけのこと。

あんな態度をとったちとせが意味がわからなくて、イライラしながら副社長室に戻る。



「わかってる。K商事の工藤さんと14時から、SSSの斎藤さんと16時からだろ」



自分のスケジュールは自分で管理できる。
俺に秘書なんていらないのに親父がつけやがる。



「さすがですね。秘書なんていらないのにどうしてつけるんでしょう?」



俺の秘書である北条がふふっと笑う。



「さぁ、なんか世間体でも気にしてんじゃねーの。ついてる秘書がいたほうが格好がつくだろ」



親父の考えてることなんて、世間体だけだ。
俺は知ってる。
世間体だけで、俺の母親と結婚したことも。
親父にはずっと別の好きな女がいることも。

でも、世間体のために親父は亡き妻を想って1人でずっといい理想の旦那像を演じてる。

ほんとにくだらねぇ。

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