溺愛王子様のつくり方
「さっきはグッスリ寝てたみたいだから、遅れたらどうしようなんて思ってましたよ」



クスッと笑う。



「……さっき?」


「えぇ。さっき、一緒に寝てたじゃないですか」


「一緒……?」



俺は、たしかにベッドで寝てたけど。
ちとせのところに行こうとしたら、アイツがいなくて。



「あの人、副社長の奥様ですよね?」


「は?あの人?」



俺はまだ、社員にちとせと結婚したことを話していない。
お披露目パーティをしてから公表しても遅くないと親父の判断だ。



「保険医さん」


「お前……もしかして……」



さっき、ちとせの様子が変だったのはこいつのせいか?



「副社長でもそんな顔するんですね?ずっと冷徹なのかと思ってました」


「あいつのこと傷つけるのであれば、即刻お前をクビにするぞ」


「あら、好きな女のことになると……副社長もだまってはいないのね」



こんなに嫌なやつだったか?
北条は、俺が入社したときから俺についてくれて。
俺が1番信頼している秘書だっていうのに。

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