溺愛王子様のつくり方
「じゃあお幸せに」



それだけ言うと、学くんはあたしの手を引いてホテルの中へと入った。

去り際にみた彼の顔は心底悔しそうだった。

隣にの彼女は、学くんに見とれていた。

どうみても、彼よりも学くんのほうが顔面偏差値が高い。
学くんは高すぎるのだ。



「あいつの顔みたか?」


学くんが面白そうに言う。



「うん、見た。でもなんで……?浮気のこと」


「んー、なんとなく?そんな雰囲気だったから。あの女も勝ち誇ったような顔してたし」


「そっか……」



それだけで瞬時に判断できる学くんはやっぱりすごい。



「お前のほうがいい女だよ」


「……え?」


「さっきのやつ、もったいないことしたよな。絶対お前の方がいいのに」



あーあと言って、ポンポンっとあたしの頭を撫でてくれる学くんに心が暖かくなる。



「そろそろ時間だ」



腕時計をあたしに見せてくる。



「あ、本当だ。ちょっとメイク直してくるね」


「あぁ、早くしろよ」



少し泣いてしまったから、崩れてしまったメイクを直すべくトイレにかけこんだ。

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