溺愛王子様のつくり方
──まずは、我が息子遊佐学よりみなさんへ挨拶があります
会場に響き渡る、社長の声。
「手、離すなよ」
社長が立っていたマイクの前にあたしの手を握って移動する。
「ご紹介にあずかりました、MMマネジメント副社長、遊佐学と申します。この度は私と妻であるちとせのためにこのようなお披露目な場を設けていただきましてありがとうございます」
学くんは出会った頃とも違う。
家で見る表情とも違う。
ただ、作り笑顔ということだけはわかる。
でも、スラスラといつ考えたのか。
それとも即興なのかわからないけど、言葉を紡いでいく。
あたしは自分たちにカメラが向けられてることで既に頭は真っ白。
最初の言葉以降、学くんの言葉なんて聞こえてこない。
「礼するぞ」
コソッと耳打ちをしてくれた学くんの言葉を合図に、深々と頭を下げた。
話すのは、学くんだけでいいと言われていたからあたしはただ隣にいるだけでいい。
それだけでも慣れないこの場所は緊張でいっぱいだった。
会場に響き渡る、社長の声。
「手、離すなよ」
社長が立っていたマイクの前にあたしの手を握って移動する。
「ご紹介にあずかりました、MMマネジメント副社長、遊佐学と申します。この度は私と妻であるちとせのためにこのようなお披露目な場を設けていただきましてありがとうございます」
学くんは出会った頃とも違う。
家で見る表情とも違う。
ただ、作り笑顔ということだけはわかる。
でも、スラスラといつ考えたのか。
それとも即興なのかわからないけど、言葉を紡いでいく。
あたしは自分たちにカメラが向けられてることで既に頭は真っ白。
最初の言葉以降、学くんの言葉なんて聞こえてこない。
「礼するぞ」
コソッと耳打ちをしてくれた学くんの言葉を合図に、深々と頭を下げた。
話すのは、学くんだけでいいと言われていたからあたしはただ隣にいるだけでいい。
それだけでも慣れないこの場所は緊張でいっぱいだった。