溺愛王子様のつくり方
「ただいま」



その日、学くんが帰ってきたのは夜の22時くらい。
さっきまであの人といたのかと思うと胸が痛くなる。



「学くん、今日はなにしてたの?」



学くんが脱いだ上着をハンガーにかけながら、それとなく聞いてみる。
自然に聞けたかな。



「ん?仕事に決まってるだろ」



疲れたのか、ふぅっと息を吐いてネクタイを緩める。

ハンガーにかけた学くんの上着からは、女性用の香水の香りが漂う。
明らかに仕事なんかじゃない。

嘘をつくなら、バレないようにこういう匂いを消してから帰ってきてほしい。

そんなことされても、この目で見たものは真実なのだけど。



「仕事って会社で?」


「は?当たり前だろ……?疲れてんだから黙ってて」



それだけ言うと、学くんは寝室に入っていってしまった。

平然と嘘をつくんだ。
この人は、嘘をつき続けるつもりなんだ。

嘘をついたから、バレないようにあたしから逃げてるの?

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