溺愛王子様のつくり方
仕事で忙しい学くんのために、栄養を考えたバランスのいい食事を心がけてきた。

学くんと再会して、大好きな人のお嫁さんになってから2か月が経っていた。

その間、あたしの作るご飯に何の文句もなく食べてくれていたけど、おいしくなかったのかな。



──グーッ


「あっ」



こんな時でもなるお腹に苦笑い。

学くんを待ってたから食べてなかったんだ。
〝待ってて〟って言われたその言葉が嬉しくて。

あたしにはずっと家族というものがいなかった。
だから、誰か自分の作ったご飯を一緒に食べてくれる人がいる。
そんな暮らしに憧れがあったから。



「こんな美味しそうなの食べれないなんてもったいない」



用意した料理をテーブルに運びながら、そんなことを言うけど、頬を伝う生暖かいもの。



「なんでだろ……」



上手くいってると思ってた。
愛されてはいないけど、大事にされてると思ってた。

でも、全部が勘違いだったのだと思い知らされる。

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