溺愛王子様のつくり方
その証拠に、あたしの様子が変だと絶対に気づいてるはずなのに気にもとめない。

それは、いまはさっきの女性のことで頭がいっぱいだからなのだろうか。



「バカみたい」



愛されることなんてないって、わかってる。
なのにどうして期待してしまうのだろう。

初めからわかっていたこと。
あたしが愛されることはないと。

それでも、結婚をやめなかったのはあたしには愛があるから。
あたしにとって学くんは大好きな人だから。

こんなに学くんの言動で一喜一憂して。
傷ついて、喜んで。
なにをされたって好きで好きでたまらない。

他に女がいようとやめられない。

だって、あたしが学くんの妻だから。
もし、その女がここに乗り込んでこようと。
奪おうとしても。

あたしが学くんの妻である。
その武器がある限りあたしは戦える。

お家柄、スキャンダルは御法度だ。
もしも、相手が浮気をバラすようなことがあれば学くんは簡単に切り捨てる。

でも、それに比べてあたしには保証がある。

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