溺愛王子様のつくり方
「だいたいお前、あの教育実習生のことは忘れたの?」


「あぁ……」



──教育実習生

燿くんの言うその人こそが、学くんだ。
燿くんは、学くんとあまり関わりがなかったから彼の顔を覚えてないみたいだけど。



「その前に大学の時も彼氏いたじゃん」


「あの浮気のね」


「……」



燿くんに逐一なんでも報告してきたあたし。
だから、浮気されて別れたことも知ってる。



「お前、男運がことごとく悪いよな」


「そんな狙ってるつもりないんだけどなぁ……」


「あの教育実習生だって最後の約束の日にこなかったわけじゃ……「それが俺なわけだけどね」



学くんの声を遮って、入口から聞こえたそんな声。



「学くん……」

「え、副社長?」



入口を見れば、学くん。
そして、横には噂に聞いていた元カノ。
昨日の女の人がいたのだ。



「霧島のことは、俺はあのころから知ってるよ。生徒会長」


「へ……。全然俺、気づかなくて」



燿くんが焦ったように話す。

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