溺愛王子様のつくり方
「なんで昔の恋人が今更会いにきたんですか?」



あたしの声ではない。
燿くんがあたしの代弁をするかのように聞く。



「ふふ。昨日帰ってきたからお土産を渡しにきただけよ」


「へー。じゃあ、今日がアメリカに行って以来の再会ですか?」


「そうだ。なんでそんなことを聞く」



答えたのは葉菜さんではなく、学くん。



「嘘だ……」


「なんか言ったか?」



あたしの小さな呟きは、学くんにはハッキリとは聞こえながたようだ。



「なんでもないよ。そろそろ誰か来たりするかもしれないし、仕事戻って?燿くんは寝るなら寝て」



サッと学くんから視線をはずし、あたしは燿くんのためにベッドのカーテンを開ける。



「ちとせ?どうかした?」



昨日は気づきもしなかったあたしの様子。
今日は気づくみたいで。



「なんでもないよ。ほら、仕事忙しいんでしょ?」


「あ、あぁ……。じゃあまた夜に」



首を傾げならそう言って、葉菜さんと医務室を出ていく。

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