溺愛王子様のつくり方

見えない彼の気持ち

「ただいま」



夜。
最近は帰りが遅い学くんが20時に帰ってくるのは珍しいこと。



「おかえり、今日は……」



はやく帰ってきてくれたことが嬉しくて、駆け足で玄関に向かったその足を緩めた。

学くんの隣には葉菜さんがいたから。



「こんばんは、ちとせさん」



学くんの隣で彼女はニッコリと笑う。



「えっと……」



どう反応したらいいのか、わからなくて戸惑ってしまう。

なぜ、葉菜さんはここにいるのか。
どうして二人は一緒にいるのか。



「こいつはやく帰ってきちまったみたいで、親が契約した部屋に入れるの明日からなんだよ」



戸惑ってるあたしに学くんが説明をする。



「昨日はホテルで過ごしたんだけど、やっぱり普通のおうちがいいなって思って学にお願いしたの」


「そうだったんですね……。知らなかったからご飯二人分しか……「だから、用意しなくていいって言わなかったか?もう俺らは食べて来たから」



あたしの言葉なんか遮ってそう言い、葉菜さんを家の中へと入れる。

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