溺愛王子様のつくり方
「ご、ごめんね。いつもの癖で作っちゃった」



へへっと笑いながら、二人を追い越してリビングへと走る。

このままだとあたし、また泣いてしまう。
そんな顔をふたりには見せたくなかった。

二人で何をしていたんだろう。
昨日のホテルには学くんもいたよね。
今日は一緒にご飯を食べてたんだ。

だいたい、ここはあたしも住んでるのに。
連れてくるのに確認もされないんだ。

いや、でも学くんの家のようなもんか。



「葉菜はこの部屋使いなよ」



あたしたちの寝室の隣の部屋のドアを開ける。

客室になっていて、誰かが来た時のための部屋だ。



「久しぶりに学と寝れる?」



甘えたように学くんの腕に自分の腕を絡める。

そんな可愛い声を出さないで。
学くんも目を細めて見ないで。

……あたしのことを見てほしい。

ただ、あたしは学くんに想われてないから。
もしかしたら葉菜さんのほうが上かもしれない。

だから、こんなふうに葉菜さんを連れてこれるのだ。

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