溺愛王子様のつくり方
「葉菜、もう一緒に寝ようとか言わないでくれる?」



さっき、甘えた声で葉菜さんが言ってた言葉だ。



「学……あたしは……」



向かいに立つ葉菜さんは眉を下げて辛そうな表情になってる。



「ちとせの前でちとせが不安がるようなことは言わないで欲しい」



そのまま学くんはあたしの手を引いて、寝室へと入ってドアを閉める。



「葉菜さん、いいの?」


「ごめん、今日だけの辛抱だから」



寝室につくなりベッドの上に座らされ、向かいに座った学くんに抱きしめられる。



「学くん……」



勘違いしそうになる。
でも、勘違いしたままでいたい。
自分の都合のよい勘違いをずっとしていたい。



「んっ……」



射抜くような瞳で見られたあと、そっと優しく触れられた唇。



「平気じゃないくせに平気なふりするな」


「……っ」



学くんはきづいてた?
でも、どうして?

それなら、なんで今日連れてきたの?

< 74 / 189 >

この作品をシェア

pagetop