溺愛王子様のつくり方
「たしかに俺は葉菜と付き合ってた。でも、それは過去の話だから」


「……うん」


「いま、俺は誰がなんと言おうとお前のものだ。お前も俺のものだ。それだけは忘れるな」



もう1度ぎゅっと抱きしめられる。



「でも、二人で帰って来たり……ご飯食べてきたり」



待っていたのはあたしの勝手だけど。
待つなと言われたのはらあたしだけど。

でも、家族ができたのに1人でご飯を食べるなんてそんなのいやだから。



「ごめんな……ご飯は社食で食べようとしたらあいつがきただけで、どこかで食べてきたわけじゃないよ」


「そっ……かぁ」



葉菜さんに気持ちがあるのかと思った。
あたしは捨てられるんじゃないか。
そんな気持ちでいっぱいで胸が張り裂けそうだった。



「泣くなよ」



学くんが困った顔であたしの涙を拭う。



「安心したらつい……」


「本当に俺のこと好きだな。お前」



意地悪そうな瞳であたしのことを見る。



「うん、好きだよ」


「……っ」



あたしが素直にこう言えば、学くんは絶対に言葉を失う。
顔が赤くなる。

だから、いつだって言ってやるんだ。



「好きだよ」って。

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