溺愛王子様のつくり方
「素直になると途端に可愛くなるよな」


「え?普段可愛くないってこと?」


「顔がとかじゃなくて……」



困ってる学くんはいつもの俺様な感じが抜けて、とっても可愛くなる。
普段見れない姿に胸がきゅうっとなるんだ。



「あはは、なんか困ってる」


「うるせーぞ」



グイッと引っ張られて体はすっぽりと学くんの腕の中。



「お前さ、今日……」


「今日?」


「霧島に抱きしめられてたろ」


「あっ……」



まずいと思ったんだ。
もしも、学くんに見られてたらって。



「なんでそんなことになってんだよ。浮気か?」


「ち、違うよ!あたしが泣いちゃったから……」


「泣いた……?」



あたしの言葉に顔を覗き込んでくる。



「ちょ、ちょっとね……」



学くんの瞳がなんだか優しい色をしていて。
見つめ返すことができなくて、目をそらす。



「葉菜のこと?」


「う、うん……」



あたしの返事に盛大なため息をつく。

< 76 / 189 >

この作品をシェア

pagetop