溺愛王子様のつくり方
その顔がなんだか怖くて、見つめることができない。



「ちゃんと見なさいよ」



それでも彼女はあたしの顎を持ち上げて、自分に向けさせる。

目の前の彼女は絵になるようなとても綺麗な顔をしていて。
そのまま呆然と立ちすくしてしまいそうになる。



「これ、見なさい」



葉菜さんの声にハッとして、彼女の手元に目をやる。



「これでも自信あるの?」


「……!?」



彼女が手に持っていたもの。

それは、あの日。
学くんと一緒に出したはずの婚姻届。

紛れもなくあたしと学くんの直筆だ。
社長と専務の証人のサインもある。



「あなた結婚なんてしてないわよ?」


「……っ」



言葉なんて発することができない。



「現実がみえた?彼はあなたのこと必要となんてしてないの」



葉菜さんがあたしの手に乱暴に婚姻届を押し付ける。



「……なんっ」


「復讐のひとつじゃないかしら?」


「復讐……?」



そういえば、うちの高校に教育実習生としてきた理由も復讐と言っていた。

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