溺愛王子様のつくり方
「この先はあたしが言うことじゃないわ」


「なんで、こんなこと……」


「そんなの決まってるじゃない。学を返してもらうためよ。元々あたしのなんだから」


「……っ」



やっぱり、この人は学くんのことがまだ好きだったんだ。
学くんはどうなのだろう。
でも、学くんのことだから葉菜さんの気持ちに気づいてないわけがない。

それでも遠ざけないってことは……。

そう考えて涙が出そうになる。
でも、この人はの前で泣くのは絶対にいやで。
必死に涙を食い止める。



「あなたのものじゃないって思い知らせられたようだし、帰るわ」



近くにあった自分のカバンを手に取って、そのまま玄関へと向かっていく。

いったいこのひとはなんのためにここに来たのだろう。
あたしに結婚していない事実を突きつけるため?

何にせよ、学くんからあたしを遠ざけようとしてるのは変わらない。



「結婚……してなかったんだ」



張り詰めていたものが一気に流れていった気がして、その場にヘタっと座り込む。

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