溺愛王子様のつくり方
「あの同級生……」


「は?同級生?」



同級生だといってた大塚さん。
あたしを少し待たせて、先に大塚さんと話してた。
あの時に頼んでたのだろうか。

帰り際〝くれぐれもよろしくな〟と大塚さんに頼んでた。
あれは、婚姻届のことだったのだろう。



「たぶん、市役所にいた同級生に頼んでる」


「なるほどね。なかなかの計画的犯行だね」


「はぁー。仕事も行かなきゃなぁ……」



ため息ついて、テーブルに顔を伏せる。



「仕事かー。同じ会社にいるのかな?」


「うん……」


「行きにくいけど、頑張れ」



ボンッと背中を叩かれる。



「タマ、力強い!」


「このくらいのほうが元気出るだろ!」



ガハハと笑うタマは本当に底抜けに明るい。



「ありがとう。タマ」



タマの明るさはたしかに人を元気づける。

それに救われている自分がいる。
今日出会ったばかりだけど、底抜けに明るい彼がいまはありがたい。

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