溺愛王子様のつくり方
『あー、ちとせー。やっと繋がった』



安心したような声を出す燿くん。



「ごめんね、心配かけて」


『お前、もう施設じゃないんだろ?どこにいるわけ?』


「あ……あのね……『おい、お前一体なにやってんだよ!』



スマホを奪われたのだろう。
あたしの言葉を遮って聞こえて来た声に耳を塞ぎたくなった。



「学くん……」


『どういうつもりなわけ?仕事にはこねぇ、家には帰ってこねぇ……『ちょっと、副社長……』



学くんの横で燿くんが必死に取り返そうとしているのが、電話越しでも伺える。



『いい加減帰ってきたらどうなんだよ。あんな置き手紙ひとつで納得できるわけねーだろ』


「あたしはもう無理なんで……「六丁目のシェアハウスにいるよ」



今度はあたしのスマホが奪われた。



「ちょ……!?タマ!?」



必死にスマホを奪い返そうとするけど、背の高いタマには到底届かない。

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