次期社長の溺愛が凄すぎます!
悩みの種は尽きません
***


藤宮さんは、私を放っておいてはくれないらしい。

シンガポールに行った藤宮さん。

出張中にも関わらず、連絡してきて『声が聞きたかった』なんて甘いセリフを吐いてきて、私が無言でいると吹き出された。

それから数日後の就業時間。末松さんがひとりで会社前に立っていて、また役員秘書におろおろされていた。

知らない人じゃないし、どうしたのかと思って声をかけたら、めちゃめちゃいい笑顔で車に乗せられて、役員秘書にまたホッとされながら見送られ、何故か藤宮さんの帰国のお出迎え……。

藤宮さんがゲートを出てくるなり真顔で固まっていたから、たぶん彼の指示じゃないと気がついたけど、『ふたりとも、まだ付き合ってないんですか?』という末松さんを、冷たく睨みつけた彼が怖かった。

『よく知りもしない男の車に乗るんじゃない』というお小言もくらった。

私が問題なのかと食ってかかったら、困ったようにお土産を渡されて、ご飯に誘われた。


……奢ると言われて、喜んだ私はやっぱり問題なのかもしれないけど。

そんなこんながあった数日後、また彼はロスに出張中。

会社に届けられたバラが一輪。

透明なプラスチックに入れられた生花を見ながら、溜め息をついていた。
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