次期社長の溺愛が凄すぎます!
「わかってる癖なら直せばいいじゃん」

「わかっていても、なかなか直らないのが癖ですって。主任以外には気を使ってるんですよ、これでも」

「……や。そこは私もあなたの上司なんだから、少しは気を使いなさいって」

突っ込みを入れつつ、ふたりとも可愛らしくカクテルなんて頼まずに、ビールをそれぞれ注文した。

「私、夕飯にしちゃってもいいかな。帰ってご飯なんて作りたくないし」

「私もです。お肉食べましょう、お肉! 主任、ひとり暮らしの憐れな平社員に肉を奢ってください」

「ちゃっかりしてんなー。てか、何を男子中学生みたいなことを言ってんの」

軽いツマミどころか、ガッツリ食事的な料理を注文して、とりあえず届いたビールで乾杯する。

お洒落なお店は、ビールもグラスでくるんだなとか思っていたら……。

「で、主任は藤宮部長さんとお付きあいすることになったんですか?」

いきなり言われたセリフに、思い切りむせた。

「ちょ……いきなり何っ! それとなく遠回しに聞くとか、そういう芸当はないわけ!?」

「できるわけがないじゃないですか。私は素直なんです」

「素直って言葉を辞書引きたくなるけど、ある意味ではその通りだね~」

たまにブラックジョークは飛ばすけど、あっけらかんとしてるのは知ってるから、私は話しやすいんだけどね。
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