次期社長の溺愛が凄すぎます!
「……そんなに嬉しかったんですか?」

『うん』

「私に空港まで来てほしいんですか?」

『うん。来てほしいな』

浮上してきた声音に、頭を抱えそうになった。

31歳でこの可愛らしさは反則じゃない?

弟の和志だって、この可愛らしさは5歳くらいで卒業したんじゃないかのかな。

いやいや、でもこの人は藤宮さん。実物を目にしたら、無表情の武士なんだよ?

わざとかな。わざとなら……。

「あざとい……」

『急になんの話だ』

失敗した。心の声が駄々漏れだった。

「何でもないです、気にしないでください」

見えもしないのにパタパタと片手を振り、水をゴクゴク飲んでから息をつく。

「日本時間の20時15分に空港に到着ですか?」

『迎えに来てくれるのか?』

「お出迎えしても、結果として私が家まで送られそうですけどね。花のお礼はこれでいいですか?」

どうせ、何かお返しって言っても思いつかないし、無理難題吹っ掛けられても困る。

『それでいい。ありがとう……大丈夫なら、夕食も食べに行こう』

そうして、明日は迎えに行く約束をして、夕食はその時に決めることにして通話を切った。

夕食がどう転ぶかわからないけど、少しはお洒落をして行こうかな。

そう思いつつ、着信履歴を見て固まった。

1時間……下手すれば30分置きになされている、着信履歴が全て藤宮さん。


鬼はあなただ。


ちょっぴりだけ、そう考えた。









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