次期社長の溺愛が凄すぎます!
***


アットホームはいいけど、これはこれで問題かな。

お昼休憩に入るなり、三島さんに腕を掴まれてでグイグイ引っ張りだされた。

彼女いわくランチのお誘い。

ランチ行きましょうとは言われてない。でも、そういうことらしい。

水色の壁紙が目に優しいのか、優しくないのかわからないけど、店内のあちこちにアメコミ的なイラストのポスターが貼られていて、なんとなくダイナーっぽい雰囲気に見える。

かかっているBGMも、オールディーズのロックだ。

「ここの日替わりランチ、毎日違ってて、美味しいんですよ!」

にっこにこの三島さんに、メニューを斜めに見ながら首を傾げる。

「毎日違うと、食べられないものが出てきた時に困る」

「定番メニューもありますって。主任て冒険心はないんですか。毎日毎日同じだと飽きちゃうじゃありませんか」

冒険心か。10代、20代の初めの頃はあったかもしれない。

昔は新しいものや出来事にワクワクして、それを楽しんでいたかも。

失敗しても次があるからって挑戦して、そのうち失敗しなくなると、また次の新しいことに挑戦して。

いつからだろうなぁ。挑むようなことはやめちゃって、間違えないように、少しずつ少しずつ慎重に行動するようになったのは。

選択をミスしないように、危ない橋は渡らないどころか、近づくこともやめてしまったかも。
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