次期社長の溺愛が凄すぎます!
「ありがとうございます」

そう言うと、少しだけ身体が傾いた。

何だろうと思って、ちょっとだけタオルを外して見てみると、藤宮さんが私の左側に腰をかけている。

「礼をする必要はないな。ここまで腫れるとは思っていなかったが、予想はしていた。君はゴシゴシと目を擦っていたからね」

そんなつもりはなかったけど、傍から見るとそうなっていたのかな?

タオルをまた目の上に戻して、ふうっと息を吐いた。

「二日酔いって、こんな感じになるんですね」

「なったことはないのか?」

不思議そうな声に頷く。

「ないです。私は飲みにも出歩きませんでしたから。行くとすれば会社の飲み会くらい。実家では、よく工場のおじさんたちに交じって飲みましたけど、こっちが酔う前におじさんたちが酔っぱらうから、結局、そこまで私自身は深酒をしたことがないんです」

そしてますますガンガンしてきた頭に、小さくうめき声をあげる。

「さっきまで気になりませんでしたけど、じっとしていても痛いものなんですね。今度から工場のおじさんたちが二日酔いに呻いていたら、ちょっとだけ優しくするようにします」

せめて『自業自得でしょ!』と叫ばないようにしよう。

固く決心したところで、小さく笑う声が聞こえた。
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