次期社長の溺愛が凄すぎます!
過去は薄れていくものけど、消えないものだし。

気にして、すれ違っちゃうこともあるんじゃないのかな?

だけど、藤宮さんはちらっと私を見て、困惑したような顔をした。

「俺がうじうじしていたら、麻衣子に蹴飛ばされそうだが」

「……ほう」

この近距離で、よくそんなことを呟いたものだ。

私にだって、相手を思いやるとか、優しい心だって持ち合わせているのに!

「それってどういう意味ですかね?」

「麻衣子は、引っ掛かりさえなくなれば、あっけらかんとしてるからな。実際、君の男嫌いは過去のことがネックだと思っているが、その他のことに関しては無頓着だ。君となら、とても楽しい家庭を築けると俺は思っている」

空気にそぐわない、晴れやかな笑顔と共に言われた言葉にあんぐりと口を開ける。

……素で言ってのけたよ。

とても楽しい家庭がとかって、普通の会話みたいに言い放った。

三島さんに懸念されてたけど、まさかそんなわけないと思っていたのに。

私を本当に嫁候補として考えていたわけですか?

でもそれっていろいろと、なんていうかその前に問題が山積みでしょう。

「プロポーズもまだどころか、私たち、付き合ってもいないのに?」

「ご希望なら、外堀を埋め尽くすが?」

めちゃくちゃ真剣な表情をする藤宮さんに、本当にゴリゴリ外堀埋められそうな気がして、違う意味でも頭痛がしてきた。
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