次期社長の溺愛が凄すぎます!
持っていたファイルを置いて、パソコンの前に座ると、共有ファイルをクリックしてデータ発掘作業に取り掛かる。

「あったあった。三島さんデータ見つかったよー」

笑いながら椅子ごとくるりと振り返ると、怪訝そうな顔をしている皆の顔が見えて固まった。

「……ええと。どうかした?」

首を傾げていると、三島さんが誰かに押されて前に出てくる。

「なんか、今日の主任ご機嫌で怖いですって」

「ご機嫌で怖いとは、どういう意味だね」

貼り付けた笑顔のままで答えると、ビシッと指を差された。

「だって、主任。朝の朝礼からずっと笑顔なんですもん! いつも金曜のミーティングだるいって言うくせに、微笑みながら出かけるし、帰って来てから文句も言わずにデータ見つけているし」

「仕事だもの、普通じゃないの?」

まるでデータ見つけたらダメーみたいなこと言われてない?

真面目に仕事してるのに、どうして文句付けられないといけないんだ。

「クールビューティー斎藤はどこに行ったんですか」

また、なにやら珍妙な異名をつけられてるんですが。

泣いてもいいですか?

「えーと……もう夏になるから? 気候もいい感じに初夏っぽいよねー」

カラカラと笑いながら、去年のデータを勝手に経理課のメールに添付して送信する。

たぶん、この時期にこのデータを欲しがるのはひとりしかいないから解りやすいんだよね。
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