次期社長の溺愛が凄すぎます!
「それで、嫁に行くんですか?」

パスタを食べようとしていた手を止めて、無表情に三島さんを見る。

「嫁に行くも何も、私ってまだ何の返事もしてないんだよね」

「え? どういうことですかそれ。まわりの皆は主任と藤宮さんが付き合ってるって思ってますよ? だって結構な頻度で藤宮さん、主任のお迎えに来てますよね?」

来てますね。そして結構な頻度でふたりで遊びに行ってるよね。

驚くことに、藤宮さんはうちの実家まで遊びに来ちゃうような感じになってるよね。

工場のおじさんたちと飲み比べをして、一番の酒豪であるヤスおじさんに勝っちゃう人を久々に見た気がするけどもね。

「うーん。何て言うか、放っておいたら、藤宮さんどんどん外堀埋めに来てるんだ」

彼は有言実行もするらしい。

先月の中頃に、何故か藤宮さんのお爺様に会って食事もしたし、苦虫噛み潰すような顔をして同席していた彼のお父さんからは、話の途中で実家の父を紹介してくれないかとか言われた。

その後はお土産までもらって「今後ともよろしく」なんてビジネスシーンみたいな握手を求められて、どう返事してもいいのか困り果てたし。

「返事しないんですか、主任」

パスタを口に入れて咀嚼してから、にんまりと微笑む。

「今日ね、藤宮さんにお食事誘われてるんだよね」
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