次期社長の溺愛が凄すぎます!
とりあえず、叔父と甥の語らいがはじまったので、聞いているフリをしながら目の前のお膳に手をつける。
先付けから前菜、お刺身や椀物、焼き物……こじんまりとしてるけど、きっちり和食。
懐石料理かな。種類の違いなんてものはわからないけど、おいしいものは、おいしいうちに食べちゃえ。
しばらく無言で食べていたら、まわりが静かになっていることに気がついた。
持っていたお箸を止めて、恐る恐る視線を上げると、藤宮さんの無表情と目が合ってしまう。
「うまそうに食うな」
「すみませ……」
「別に謝らなくてもいい。そんな風に豪快に食べる女性は初めてだな」
あなたが食事を同席する女性は、めちゃめちゃお淑やかなのかもしれないけど、そんなもんは知らないから。
「そもそも、麻衣子はそんなにおとなしい性格をしていないだろう」
しかも、名前呼びは彼の中では確定なんだろうか?
「私の何をご存知なんですか」
胡乱な視線で見つめると、藤宮さんは人差し指を立てる。
「父親、母親、弟の四人家族。しかも父親は戦後から続く老舗の部品メーカーの社長。工場はさほど大きくはないが、技術は他社が真似出来ない職人技の粋だ。特許関連は大手を巻き込んで取っている。親父さんは商売がうまいな」
……いや。社長って言っても、町工場がちょっと大きくなりましたって程度の、下請けどころか孫請け的な会社なんだけども。
先付けから前菜、お刺身や椀物、焼き物……こじんまりとしてるけど、きっちり和食。
懐石料理かな。種類の違いなんてものはわからないけど、おいしいものは、おいしいうちに食べちゃえ。
しばらく無言で食べていたら、まわりが静かになっていることに気がついた。
持っていたお箸を止めて、恐る恐る視線を上げると、藤宮さんの無表情と目が合ってしまう。
「うまそうに食うな」
「すみませ……」
「別に謝らなくてもいい。そんな風に豪快に食べる女性は初めてだな」
あなたが食事を同席する女性は、めちゃめちゃお淑やかなのかもしれないけど、そんなもんは知らないから。
「そもそも、麻衣子はそんなにおとなしい性格をしていないだろう」
しかも、名前呼びは彼の中では確定なんだろうか?
「私の何をご存知なんですか」
胡乱な視線で見つめると、藤宮さんは人差し指を立てる。
「父親、母親、弟の四人家族。しかも父親は戦後から続く老舗の部品メーカーの社長。工場はさほど大きくはないが、技術は他社が真似出来ない職人技の粋だ。特許関連は大手を巻き込んで取っている。親父さんは商売がうまいな」
……いや。社長って言っても、町工場がちょっと大きくなりましたって程度の、下請けどころか孫請け的な会社なんだけども。