次期社長の溺愛が凄すぎます!
「あ、あの、藤宮さん? 急にどうしました? 私何かやらかしちゃいました?」

オロオロとする私に、無表情の藤宮さん。ちょっと不機嫌そうじゃない?

でも何も言ってくれないまま、やってきたエレベーターに乗せられる。

ちょっと待って。

私は一体何をやっちゃったんだろう。

失敗した? いったい何を?

グルグルと考えていたけどわからない。

そのうち、エレベーターが目的の階に到着して、手を引かれるままに降りてから混乱する。

ここ、一階じゃないみたい。

どちらかというとホテルの客室のフロアだ。

そのまま奥まで歩き続け、藤宮さんはちょっと豪華そうなドアの前に立ち止まると、カードキーを使ってその扉を開ける。

その瞬間に香る花の匂い。

スイートルームらしいその部屋に入ると見えたのは、いたるところに飾られた赤いバラ。

ぼんやりと驚いていたら、部屋の中央に来て手を放された。

藤宮さんはそのまま部屋の奥まで進み、テーブルの上にあった、一番大きなバラの花束を持ち上げる。

「まさか麻衣子に先を越されるとは思ってなかった」

そのバラの花束を睨むようにしながら、藤宮さんはひとり言みたいに呟いた。

「え。私? 先を越すとか、ちょっとわからない……」

「365本」

さんびゃくろくじゅうごほん?
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