次期社長の溺愛が凄すぎます!
その数字に何の意味があるのはわからなくて、瞬きを繰り返していたら、彼は花束を持っていない方の手を、まわりを示すように広げていく。

その行動と意味に、呆然として藤宮さんを眺めた。

「まさか、ここにあるバラが、365本?」

藤宮さんの視線が、花束から離れて私に戻って来る。

ちょっと困ったような照れ笑いをしてから、小さく息を吐いた。

「そう。全部で365本。だから、麻衣子に先を越されてしまった」

藤宮さんが何度かバラを贈ってくれたから、私も本数の意味を調べたことがある。

バラの花が一輪は、一目惚れか、あなただけ。

次にバラの花が三輪は、愛してますか、告白。

そしてバラの花が365本は、あなたが毎日恋しい……だったはず。

「そしてこれは108本」

花束を渡されて、大きな花束を両手で抱える。

「108本なの?」

おずおずと声に出してみると、藤宮さんは優しく微笑んでから頷いた。

「そう……麻衣子。俺と結婚してください」

108本のバラはプロポーズ。

そう気づいた瞬間、そんなつもりはないのにポロポロと涙がこぼれてきて、慌ててバラの花束で顔を隠した。
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