次期社長の溺愛が凄すぎます!
驚いたような藤宮さんの声が聞こえてくる。

でも、私の声は言葉にならない、落ち着こうと思って深呼吸をして、濃厚なバラの香りを吸い込んでから、ゆっくりと藤宮さんを見上げた。

「怒ったのかと思った」

「俺が? いや、怒ってない。悔しかったが……」

言いつつ、自分の行動を振り返ったのか、少しだけバツの悪そうな顔をする。

「ごめん。少し自分の行動が麻衣子にどう思われるのか、考えてなかった」

「ずっと何も返事していなかったから、嫌われたのかと思って、びっくりしたの」

そして安心した途端、泣いてしまうなんて情けない話だ。

数回瞬きして涙を払うと、そのまましばらく黙って見つめ合う。

ゆっくりと藤宮さんが近づいてきて、私から花束を取り上げた。

どうするんだろう? 不思議に思っていたら、元のテーブルに花束を置いて、また私の前に戻ってくる。

「麻衣子は俺が好き?」

好き……なんだと思う。

藤宮さんは私を裏切ったりしない。心の奥底でそう信じている。嫌われるのがとても怖い。

こんな感情は、奏斗の時にはなかったと思う。

「好きです」

思いは言葉となって、するりと飛び出して来た。
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