次期社長の溺愛が凄すぎます!
***


そして翌朝。

本当であれば、単なる暖かい土曜日。

でも、明るい日差しが敵のように感じ始めた頃、藤宮さんが苦笑した。

「麻衣子。寝ていてもいいぞ」

明るい日差しと敵対しながらも、うつらうつらしていたらしい。

ハッとした時には、すでに持っていたスプーンを取り上げられる。

「ごめんなさい。でも、これ食べたら帰るんですよね?」

泊まったホテルの一室で、朝食を食べたら帰ろうと言われ、軽いものなら食べられるだろうと判断してスープセットを頼んだ。

朝食というよりも、すでにお昼ごはんに近いのかもしれないけれど、クラムチャウダーとロールパンという簡単そうなメニューながら、そもそもが高級ホテルのルームサービス。味は抜群のはずなのに、寝不足の舌にはいまいちわからない。

少しだけ心配そうにしていた藤宮さんに、頑張って平気な顔を取り繕いならが食べていたはずなのに……。

睡魔と戦っていたのを藤宮さんに見破られた。

「いいよ。無理しないでも。麻衣子を家まで送ればいいだけなんだ」

苦笑しながら、藤宮さんが食べているのはサンドイッチセットだ。

「帰るなら一緒に帰ります」

「もちろん置いて帰るつもりはないから、安心して休んでいい。麻衣子の寝不足の原因は俺なんだから」

言われてボッと顔を赤らめた。
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