次期社長の溺愛が凄すぎます!
「幼い頃から工場が遊び場で、周りにいた年配の技術者に可愛がられていた。自転車で坂道を爆走して大破……したのにピンピンしていた逸話や、小学生の時には、弟をいじめたガキ大将を逆に泣かせた話には笑ったな」

えーと、その……何て言うか、よくご存知ですねー。

「大学は私立大学ながら、ほぼ首席で卒業したんだろう? 他社も選べたはずだが、どうして藤エンジニアリングに?」

次々に出てくる個人情報に、めまいがしそう。

原さんも呆然と藤宮さんを眺め、それから我に返ったようにハッとすると、真剣な顔で私を振り向いた。

「斎藤さん、すまない。身内にストーカーがいるとは思わなかった。よければいい弁護士を紹介しよう」

「身内庇わなくてどうするんですか。そこはちゃんと庇ってあげましょうよ」

堂々と密談する私たちに、藤宮さんはムッとする。

「別に、俺が彼女をつけ回したわけじゃない」

わかってる。ううん、わかった。

たぶん5年前のあの時に、奏斗の交遊関係を調べるのと同時に、私のことも調べたんでしょ。

じゃないとピンポイントで、あんな話をしてこないものね。

当時も、いいとこの坊っちゃんかなぁと思っていた。

結果、やっぱりいいとこの息子だったわけで、予想に違わないって言うか。

「あの時よりも綺麗になった」

褒められたんだろうけど、無表情に言われたら反応に困るわい!
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