次期社長の溺愛が凄すぎます!
「いいですよ。ちょっと待ってください」

スマホを出して、実家に連絡すると母さんが出てくれた。

『はい。もしもし』

「あ。母さん? 麻衣子だけど。今日は帰りに寄るって言ってたけど、行けなくなった」

『あらぁ。そうなの? 工場の人たちが張り切って日本酒揃え始めていたのに』

……おっさんたちは、人の誕生日にかこつけて、単に飲み会したいだけでしょう。

今日は金曜日だし、飲み潰れる気満々だよね。

「明後日の日曜日に行くから」

『わかったわ。伝えておくわね。どーせあの人たちは飲みたいだけなんだから』

うんうん。母さんの苦笑している顔が目に浮かぶようだ。

『誰か、誕生日お祝いしてくれの?』

「あー……」

きっとそうじゃないと思うんだけど。たぶんこの機会を逃したら、藤宮さんとは、もう会うこともないかもなぁ。

なんの話か知らないけれど、何かの話があるんだろう。

『いいわ。詮索しないでおいてあげるけど、工場の人たちにからかわれるのは覚悟してなさいね。あんたの誕生日をお祝いしなかったことなんてなかったんだから』

5年前の誕生日は土曜日だったから、奏斗とデートした。

だけど、夜にはおじさんたちの酒盛りにつきあった記憶がある。

……いやだなぁ。しっかり思いだしちゃったじゃないか。
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