次期社長の溺愛が凄すぎます!
「そうですね。斎藤さんが思っている通りな気がします」

末松さんが朗らかに答えると、藤宮さんが抗議の声をあげる。

「違う。友人に、連絡先もわからなくて、約束もしていない、社内の人間と話をするためにはどうすればいいのかと相談したら、社員入口にいろと助言された」

「ちょっと待ってください、それは“待ち伏せ”って言いますから、藤宮さん!」

思わず口を挟むと、藤宮さんが顔を近づけてくる。

「俺は麻衣子を誘って、麻衣子はいいですよと了承した。これは拉致にはあたらない」

「そうだけど! 確かにいいですよって言いましたけど! そもそもの行動が根本からなってないって言うか?」

「では、連絡先を教えろ。次に誘うときにはしっかり連絡してやる」

「ちょっと! どこから目線なわけ!? だいたい、次に誘うときにはって何かの間違いでしょ。私とあなたでどうして次があると思うの。私は子会社の人間ですよ!」

「会社は関係ない。プライベートと会社は別の話だろう?」

心底不思議そうな声に、口を閉じた。

そりゃそうだ。本社の部長様が、子会社の総務主任に何の用があるって話だ。

だからって、プライベートで接点だってない……わけじゃないけど、ないのも同然じゃ?
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