次期社長の溺愛が凄すぎます!
考えてみたら変な話だよね。

本当なら知り合う機会すらなかったはずなのに、深く知り合ってしまったような気もする、友達でもなんでもない不思議な関係。

お互いのプライベートでがっつり絡んで、ちょっと複雑。

しかも、私は全然相手のことを知らないのに対し、藤宮さんには子供の頃のやんちゃまで知られてる。

「えーと……プライベートで、これから関係はないような気がしますが」

「ないなら関係を作ればいいだけだろう」

「よくわかりませんが、藤宮さんは、私とお友達になりたいとか、そういうことを望まれているわけなんですか?」

「どうしてそうなるんだ……?」

愕然とした藤宮さんに、大笑いしている末松さん。

わからないから聞いてるんだ。それ以外ならなんだって言いたいの。

しばらく黙っていたら、末松さんが声をかけてきた。

「ともかく、到着しましたよ。帰りはどうしますか?」

「ああ……迎えは不要だ。帰りは車を呼ぶ」

溜め息交じりに呟いて、藤宮さんは車を降りると私に手を差し伸べてきた。

不思議に思って首を傾げると、ふっと笑われる。

「手を……麻衣子」

「あ、ああ。はい」

手を乗せて、手伝ってもらいながら車を降りた。

……こんな扱いされるのは初めてだ。

どぎまぎしながら意味もなくスカートを直すと、目の前の建物を見て目を丸くする。
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