次期社長の溺愛が凄すぎます!
私が入社した会社も、確か藤宮重工と関連のある会社だったはずだけど……。

何も言えずにポカンとしていたら、藤宮さんはスッと目を細めた。

「君は……」

「あ、斎藤と申します」

「なるほど、あなたは目が覚めるような美人だ」

言葉は褒めていても、突き放し、軽蔑するような声音に、私はまたポカンとして、それから弁護士の吉田さんはギョッとしたようだ。

吉田さんが何かを言う前に、藤宮さんは持っていた分厚い封筒をローテーブルに投げ出すようにして置く。

「中を見て確認してくれ。あなたが誰と付き合おうが構わないし、教えてやる義理もないだろうが、あの男を許すつもりはないので、あなたに逃げ込まれても困る」

何を言っちゃってるのか理解できない。

でも、彼が真剣にこの封筒を開けろと言っているのはわかる。

吉田さんを見ると、諦めるように藤宮さんを窺って、それから私に頷いた。

分厚い封筒を持ち上げた途端、投げ出されて破けたのか、中身がバサバサとローテーブルに広がる。

「す、すみませ……!」

慌ててかき集めたものは数十枚の写真。そこに見覚えのある人がいることに気がついて、一枚を取り上げた。

見間違いじゃない。奏斗が写っている。

夜の街中だと思う。スーツ姿の奏斗が、見知らぬ女性と仲がよさそうに腕を組んでいた。
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