次期社長の溺愛が凄すぎます!
「止められているのは、今もじゃないんですか? 後でまた叱られるんじゃありません?」

「そこは甘んじて受けよう。せっかく再会できたんだ、少なくとも、同じグループ会社という接点もできた。それに、今日を逃せばもっと接点がなくなる」

それは、接点を持ちたがっているようにも聞こえる。

よくわからない人だなぁと考えながら、またワインを飲んだ。

「奏斗に別れを告げて、携帯を解約して、初めてひとり暮らしを始めました」

「それだけ?」

「それだけですねー。そもそも彼とは共通の知り合いもいませんでしたから。インターンシップで彼の会社に行った時に声をかけられて、何度か食事をして、それからつきあおうって言われた感じでしたから」

つきあいとは言っても、二股かけられていたんだから、ちょっと意味合いは違うのかもしれないけど。

考えてみたら、希薄な関係だったなぁ。

私も就活真っ盛りだったし、彼は彼で仕事が忙しいって言っていたし。

思えばそれでよかったのかも。あまりに深くつきあってからなら、傷はもっと深くて深刻だったろうから。

「そちらはどうだったんですか?」

思わず聞いてしまってから慌てた。

私の傷が深くなかったからといって、藤宮さんの傷が浅いとは限らないのに。
< 32 / 197 >

この作品をシェア

pagetop