次期社長の溺愛が凄すぎます!
頭を抱えそうになったら、静かに前菜が届いた。

ウェイターさんが説明するのを聞き流し、離れていくと藤宮さんは小さく咳払いする。

「とにかく、当時の俺の態度はなかったな。八つ当たりもしていたと思う。すまなかった」

「大丈夫ですよ。謝罪は当時もしてらっしゃいました。ロボットじゃないんだから、普段と違っていて当たり前ですし」

「ロボットか……たまに末松に言われる。とりあえず、先に食べてしまおうか。腹も空いただろう?」

「は、はい……」

そうしてはじまった食事は、ひどく和やかで、落ち着いたものだった。

時折、冗談も交えながら、出てきたおいしいシーフード料理に舌鼓を打つ。

料理とお酒がおいしければ、幸せでどんどん進む。

それにしても、私は藤宮さんを武士と称したけど、末松さんは彼をロボットと呼んでいるらしい。

「仕事中は働くマシーンなんですか?」

「まぁな。冷静な判断をくださなければならないし、時には冷徹になることも求められる。麻衣子も、人をまとめる立場ならわかるだろう?」

「そうですねー。ウチはどちらかといったら人当たりのいい人が揃っているから、何て言うかアットホームです」

ワインのせいか、ポカポカしてくる。

ふわふわ笑っていたら、ふっと藤宮さんの目もとが優しくなった。
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