次期社長の溺愛が凄すぎます!
話してみると、結構面白い人だな。

でもきっと、泥んこ遊びをしてドロドロになったり、人の家のブロック塀の上も歩いたことはないんだろう。

絵にかいたような優等生っぽいもんね。

ニヤニヤしていたら、不思議そうな顔をされた。

藤宮さん、無表情だけど、よく見たらそこそこ表情がある。

そうしているうちに時間は過ぎていき、藤宮さんはコーヒーを、私は紅茶をお願いしたところでケーキが運ばれてきた。

「え。いや、まさかのホール?」

目を丸くして藤宮さんとケーキを交互に見る。

真っ白なテーブルクロスの上にドーンと乗せられたイチゴのホールケーキには、ハッピーバースデーと書かれたチョコレートプレート。そして数本の花火が燃えている。

ふたりでは、絶対に食べきれない大きさだ。

「食べきれないなら、残せばいい」

「何を言っているんですか。そんなのもったいないですよ」

「では他の方にも振る舞ってしまおう」

小さな声ながら歌われたハッピーバースデーに、他のお客様の視線が突き刺さる。

ちらほらと「おめでとうございます」という声も聞こえてきて、盛大に照れながらもお礼を返した。

めちゃめちゃ恥ずかしい! 注目の的になっちゃったじゃないか!
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