次期社長の溺愛が凄すぎます!
背景はどこかの建物。ちょっとお洒落にライティングされているけど、微かに確認できる【休憩】と【宿泊】の値段。

違う一枚を取り上げて、そこにも奏斗と女の人が写っていた。

どこかのマンションの一室らしい。薄いカーテンの奥に、キスをしている半分裸のふたり。

どの写真も、シチュエーションは違っても、奏斗と、同じ女の人がイチャイチャしているものばかり。


これは間違いなく、浮気現場でしょう。


パタリと手を下ろすと、冷たい表情の藤宮さんから、どこか慰めるような吉田さんに視線を移し、それから足元を見つめた。

頭の中が真っ白。だけど、この写真は決定的すぎる。


……もしかして私、男運がないのかなぁ。


私のまわりの男どもと言ったら、父さんは日和見でガサツだし、父さんが経営する工場で働くおじさんたちはすぐにからかってくるし、弟は生意気で憎たらしくてだらしない。

男に幻想は抱いちゃいけないんだと早々に悟った私。

母さんは最初は「そんなことないわよー」なんて、フォローしていたけど……。

やっぱりちょっと勝気に育ってしまったから「そんなんじゃ彼氏できないわよー」なんて、諦めモードの中、奏斗って、初めての彼氏だったのに。

考えているところに、低い声が割り込んできた。

「君には関係ない話だが。そこに写っている女性は私の婚約者だ」
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