次期社長の溺愛が凄すぎます!
そもそも、藤宮さんはきっとおかしい。

黙った姿は武士だし、業務中はマシーン。

無表情で褒め殺しにあわせるし、友人に言われるがままに待ち伏せするし。

でも、表情が全くないわけじゃないことは気がついた。

そして、彼は笑顔だと素敵すぎる。そもそもイケメンは笑っちゃいかん。

気障なセリフも封印してほしい。

とてつもなく、心臓に悪い危険人物。そんな人に何をお返ししろと……。


「斎藤主任……?」

「はい?」

恐る恐る三島さんに声をかけられて顔を上げる。

「終業時間です。何をブツブツ言っていたか知りませんが、皆、怖がって私に書類の最終確認を頼みにきたんですが」

「え? ああ。ごめんごめん、考え事してた。ちょうだい。まだ三島さんには教えてないもんね。今度、最終確認やってもらうから」

「私にはまだ早いですよ。では、お先に失礼します」

……全然早くないよ。

てか、総務部は何故か寿退社多いから、私の次に勤続長いのは三島さんでしょう? サラリと業務拒否してんじゃないよ。

苦笑しつつも、書類をチェックしてファイリングすると、それを施錠できるキャビネットにしまってから課長と部長に挨拶をする。

ともかく、今日の頭の中心が何故か藤宮さんだった。

業務中に考えることじゃないよね。

溜め息をついて部署を出たら、帰ったはずの三島さんが走って戻ってきた。
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