次期社長の溺愛が凄すぎます!
***


とりあえず、末松さんが運転する車に乗るなり、私は藤宮さんに噛みついた。

「あなたは何を考えてるんですか、何を! どーしてあんなところで、わがままいってるんです!」

「何を怒っている?」

不思議そうな声音の藤宮さんに、この人はなんなんだと叫びたくなる。

「俺が麻衣子に会いたかったのは、土産を渡したかっただけだ。業務外のことにわざわざ社内に入るまでではないと判断しただけなんだが」

お土産……?

「……藤宮さんのプレゼントは恐ろしいので、遠慮したいです」

「今回はお菓子だ。君は甘いものが好きそうだから」

あ。それなら欲しい。食べ物は正義だ。

差し出された箱を受けとると、なんのお菓子だろうかと考えてハッとする。

違う。そうじゃない。

「藤宮さん」

「なんだ?」

「この間くださったペンダント、本物だったんです」

車内は暗いからわからないだろうけど、それでも怒った顔をしていたら、彼から戸惑いが伝わってきた。

「ああ……まぁ、偽物とは言っていなかったと思うが」

「私に本物の宝石を贈ってどうするんですか! 困るじゃないですか!」

そこまで言うと、藤宮さんは声をあげて笑い始めたからびっくりする。
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