次期社長の溺愛が凄すぎます！
藤宮さんの言葉に、虚ろな顔を上げると、彼の蔑むような視線と目が合った。

「自分の婚約者を調べるなんて、いい趣味してますね」

「浮気をするような相手を、妻にもらう気はない」

ふーん。まぁ、婚約していても浮気をするような人と結婚したら、そりゃートラブルにしかならないよね。

力なくソファに身を預けて、彼をただ眺めると、それが気にくわなかったのか、目が合った瞬間に鋭く睨まれた。

「これからあなたの彼氏にも慰謝料を請求するつもりだ。まぁ、彼氏と言っても、私の婚約者とつきあっていたわけだが」

彼は立ち上がり、最後に嫌悪感丸出しの視線で私を見下ろしてくる。

「巻き込まれたくないのなら、早々に別れるんだな」

そりゃあ、こんなことされてる以上、今後も奏斗と何もなかったように付き合ってはいけないけど。

そんな言い方ってないんじゃないかな。

「あなたに命令される覚えはありませんが」

軽く睨むと、彼の視線がますます鋭くなっていく。

しばらくの沈黙の後、藤宮さんはソファに座り直し、小さく咳払いした。

「すまない。君には、もう少し、やわらかく伝えるつもりだったんだ」

謝罪の言葉と同時に、頭を下げられて驚いた。

若くても、大きな会社の課長さんもしている人なのに、この人は案外あっさり謝るんだ。

世の中の偉い人って、なかなか謝らないものだというのは偏見なのかな？
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