次期社長の溺愛が凄すぎます!
「来週末に、本社の創業祝賀会がある。今年は80年だったかな。それの同席を頼みたい」

80年って、アニバーサリーですか。

「本社のパーティーに出るとしたら役員です。子会社の主任は無理に決まって……」

「誰も会社の人間として出席してほしいわけじゃない。俺の“パートナー”として出席して欲しいと言っているんだよ」

パートナー? パートナーって……。

「無理です。着ていく洋服もありませんし、ちゃんとしたパートナーを見つけてください」

「返答を用意していたかのようだな」

うるさい。母さんにあんなことを言われたら、私もそこそこ考える。

だって普通は、“なんとも思っていない女”にダイヤモンドなんて贈らないんでしょ。私もそう思う。

この人の考えはちょっと理解不能な位置にあるけど、面倒くさいことになる前に壁を作ろうかなって。

「では、お返しはないってことでいい」

溜め息交じりに言われて眉を寄せた。

「他にないんでしょうか? 何か品物とか」

「品物ね。思い付く品物はないな。基本的に物欲はない」

……うん。あなたなら何でも買えそうだし。物欲もなにも、欲しいものはだいたい与えられていそう。

「そうだ。麻衣子の手料理が食べてみたい。弁当ではなくて、出来立ての手料理が」

考えてみて……首を振った。そんなもの、どうやって届ければ……。
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