次期社長の溺愛が凄すぎます!
「藤宮さんって、不思議な人ですね」

「それほどでもない」

「そこそこの自覚あるんだ」

答えたくないのか、藤宮さんは無言になった。

確かに“不思議ちゃん”扱いしてるのに「そうなんだ。俺って不思議な奴なんだ」とか肯定されたらドン引きする。

「えーと、女よけとかそういうことですか?」

「何の話かわからない」

「藤宮部長、モテそうですもの。祝賀会と言ってもパーティーには色んな女性も集まるでしょうし、群がってこられるんじゃ?」

私が逆の立場だったら、想像するだけでウザったくなりそう。

「そんなのはひとりでもどうにかなる。それよりも、連絡先を教えてくれないか?」

「わかりました。藤宮さんの連絡先も教えて下さい」

お互いに連絡先を交換したところで、私のマンションについた。

藤宮さんが先に降りて、私が車から降りるのを手伝ってくれる。

手を離したところで、藤宮さんは私の顔を覗き込んできた。

「明日は何をしているんだ?」

「特に何も予定はありませんが」

とりあえず、顔を近づけるのはやめて。あなたイケメンなんだから。

「あまり夜更かしするなよ?」

「子供じゃありませんから!」

怒るようにして言うと、藤宮さんは車に乗り込みながら、わざとらしく思い出したような声を上げた。

「そうだ。明日10時にな。それじゃ、おやすみ」

「は……?」

バタンと閉まるドア。それから示し合わせたように動き出す車。

呆然と見送ってから呟いた。

「明日の10時に何か?」

もちろん、誰も答えてくれない。









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