次期社長の溺愛が凄すぎます!
***


翌朝9時30分。休日はゆっくり起きるにしても、すでにおはようには微妙な時刻。

溜まってしまった洗濯物をしていると、新たにアドレスに加わった藤宮さんから連絡がきた。

『おはよう。起きていたか?』

「おはようございます。まだ10時ではありませんが」

『10時頃に出かけたいという希望だ』

藤宮さんの予定を、昨日の私は伝えられたの?

『麻衣子と』

「約束してませんからね! いきなり言われても困ります!」

『それは末松に言われた。だから、単なる希望。それで、どうだろうか』

どうだろうかって、なんだろうか。

「藤宮さんて、本気で誘い方がなってませんね。普通は遊びに行かないか、とか、食事に行かないか、とか、理由も言うものです」

『買い物につきあって欲しい。その後で食事に行こう』

驚くほど素直だ。素直すぎて逆に怖い。

「残念。今、洗濯物してますから。一時間は動けません」

『女性は用意もあるだろう。昼食も兼ねて、12時に迎えに行ってもいいか?』

諦めろよ。思わず突っ込みそうになってやめた。

たぶんこの人は、“お断り”なんてされたことないだろう。

単にスルースキルがめちゃめちゃ高いだけかもしれないし、人の話をきいてないだけかもしれないけど。
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